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僕がこれまでに見聞きした作品のうち面白かったもの感動したものなどをあげていきます。
反論、意見、その他どしどしどうぞ。ほかにも「こんな作品いいよ」なんてのもあったら教えてくださいね。


22:VAI:「Sex & Religion」:1993年
SONY RECORDS:SRCS6796



  1:An Earth Dweller’s Return
  2:Here & Now
  3:In My Dreams With You
  4:Still My Bleeding Heart
  5:Sex & Religion
  6:Dirty Black Hole
  7:Touching Tongues
  8:Just Cartilage
  9:State Of Grace
 10:Survive
 11:Pig
 12:The Road To Mt..Calvary
 13:Down Deep Into The Pain
 14:Rescue Me Or Bury Me

余談を一つ。矩形派〜のせいかイベントとかでお客さんに「BLACKHEARTさんってやっぱりテクノばっかり聞いてるんですかー?」とか言われることが最近増えているが一つ言わせて頂くがわしゃギタリストです。テクノは後からついてきただけ。

現在アメリカではHR/HMは死んでいると言われている。90年代半ばNIRVANA、Peral Jamなどによって広められた「グランジ、オルタネイティヴ」の台頭によってである。まぁ最近はAEROSMITHなどの活躍によってよく挙げているメロディアス・ハードロックに注目が集められている・・・但し日本の話なので向こうじゃしらん(笑)。いわゆる「LAメタル」や「NWOBHM(New Wave Of British Heavy Metal)」の時期に活躍したバンド達が最近あまり日の目を見ないのは事実である。なかでも元DOKKENNのジョージ・リンチや元EXTREMEのヌーノ・ベッテンコート、QUEENSRYCHなどオルタナ方向に進んでいったミュージシャンなどもいる(QUEENSRYCHの場合人伝えに聞いただけだしクリス・デガーモの脱退によって変わったかもしれないけど既に興味なし)。そのグランジ、オルタナの本場(?)アメリカで一時期(今もなのかな?)ギタリストの間で人気を博し日本でも人気の高いギタリスト、それが今回紹介するスティーヴ・ヴァイである。

元々あの奇才フランク・ザッパのバンドの一員として数々の作品に参加してきたヴァイ。ザッパは勿論これまでに道をともにしたミュージシャンはまさに数が知れない。現在持っている資料だけでもゲスト参加などだけでも20〜30近くあったりする。やはりその中で有名なものと言えば元VAN HALENのヴォーカリスト、デヴィッド・リー・ロスの「Eat’em and Smile」とWHITESNAKEの「Slip of the Tongue」である。ただギタリストの中だけで言うのであればイングウェイ・マルムスティーンがあのクラシカル速弾きとともにデビューしたALCATRAZZの「Disturbing the Peace(この時点ではイングウェは脱退済)」や映画「Crossroads」でのジャック・バトラー役などでもお馴染み(お馴染みか?)だ。さてそんなヴァイが90年に発表した2ndソロ「Passion and Warfare」に続きバンド名義で発表したのが今回の「Sex & Religion/VAI」である。

「Passion and Warfare」でギタリストとしてまた音楽家として世に知らしめた訳だが当時は先ほども挙げたLAメタル全盛期であり続くこの作品も前作に続くギターアルバムであると思われていた。しかしこのアルバムはヴァイに劣らない奇才デヴィン・タウンゼントをヴォーカルに迎えたソング主体のアルバムである。実はヴァイが手がけたものでソング主体であるのは本格的なものとしてはこれが始めてであり、「バンドの一員としてのギタリスト」としての新しい一面(DLRも確かにソング主体ではあるがビリー・シーンとのバトルなどテクニカルな面での部分も大きくフューチュアされている)を確立している。

さて着眼点をヴァイからこのリードヴォーカル、デヴィン・タウンゼントに移してみよう。彼は最近ではストラッピングなんたらというハードコア(なのか?)である意味ヴァイ以上に個性的な作品を世に送り出している。彼のヴォーカルの点での特徴はシャウトと歌の使い分けの巧さやハイトーンでの安定感・・・等々いろいろある。実際聞いてもらわないと分からないかも知れないがある意味これも「デス声」である。しかし普通の歌い回しをしたときの表情の付け方などはとてもそんな声からは想像もできないぐらい巧い。ハーモニーなどの点でもMR.BIGのエリック・マーティンやJOURNEYのスティーヴ・ペリーに匹敵するぐらいの才能を持っている。だからこそこの「デヴィンシャウト」が映えるのかも知れない。「Still My〜」や「Down Deep〜」などのサビでその凄さをまじまじと実感できる(特に前者は曲後半部の16分ハイトーンシャウトなども聴いてみるといいかも。「Diryty Black Hole」のヴォーカルが入る前のシャウトなんかも)。とりあえずヴァイ並に変態だね(笑)。

で話をヴァイ本人に戻して最初書いたとおりバンドアンサンブルに重点を置いてか、この作品では「Passion〜」等で顕著に見られた変態フレーズや変態速弾きはあまり見られず(と言ってもヴァイレベルの話だからわしらアマチュアにとっては十分ハイレベルだけど 苦笑)リフやメロディーなどに非常に念を入れている。「Dirty〜」等の中盤部分のベースとのリフワークや(ヌーノがEXTREMEの「Cupid’s Dead」でやってたのと似てるかも)ギターによるオーケストレーション(これは前からも顕著に見られたが・・・)等々。オススメはtr4,6,10,13,14。tr4や13のソロなどはテンションプレイの固まり。さすが変態ギタリスト・・・(笑)。イーブンタイドのハーモナイザーH3000を駆使したスケール無用のサウンドなども必聴。あとヴァイは結構まえから7弦ギターやエレクトリック・シタールを使用しておりtr10のリフやtr9でその音を実感することができる(7弦ギター欲しー誰かくれー)。

あと14ではこのときでは珍しいヴァイ本人によるヴォーカルも入っている。以外にシブい声でこれはこれでいい味を出していると思う(ちょっと下手なところがシブい)。「Alian Love Secrets」を挟んで続く「Fire Garden」ではソングナンバーでは全部ヴァイがヴォーカルを取っているがさすがにこれは練習したらしい(笑)。リズム隊の二人もかなりの玄人で手数の多いセッションサウンドを聴かせてくれる(テリー・ボジオはクラッシュシンバルの音が聞こえないけどこれ全部チャイナをスプラッシュさせてんのか?)。ビリー・シーン&グレッグ・ビソネットのコンビネーションも良かったがこっちのTM&ボジオ組の方がもっと激しく生々しい音を聞かせてくれる。音の好みもあるけど。

長々書いてきたけどこの変態ギタリスト、スティーヴ・ヴァイはこれからも独自の世界を切り開いていってくれるであろう(今のところの新作「Ultra Zone」ではB’zの二人との共演なども行っている。この曲「Asian Sky」結構好き)。その彼が経てきた作品の中でこの「Sex & Religion」はある意味彼の代表作と言えるものであろう事を僕はここに保証する。ヴァイ万歳!!(笑)

STEVE VAIのページ

VAI are

Davin Townsend(Vo)
Steve VAI(Gt、Key、and others)
T.M.Stevens(Bs)
Terry Bozzio(Dr)

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